この秋、当店初となるメンズのシューズブランドとのお取り組みがスタートします。
「seica」
神戸発のビスポークシューメーカー「seica(セイカ)」。
代表を務めるのは、スピーゴラに約10年間在籍し、手製靴づくりの技術を磨いた霜崎泰也さん。
2012年に独立し、現在は神戸・滝の茶屋に工房を構え、自身のシューズブランド「seica」を展開されています。
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オープンから4年半の時を経て、当店のメンズスタイリングのラストピースがようやく揃います。
まずは、ブランドとの出会いについてお話させてください。
もともとPARKは、自分たちが着たいもの、身につけることで気分があがるもの、作り手の信念が感じられるものを大切に、自分たちが本当におすすめしたいものをセレクトしてきました。
洋服と小物は、ユニセックスで着られるブランドやメンズブランドを中心に、性別の垣根なくお選びいただけるものを。
一方で、靴については、レディースにご提案できるラインナップは揃っていましたが、メンズシューズだけがずっと不在でした。
もうあと一歩、メンズの足元までのご提案ができれば....
そんなことを考えるようになった、ちょうど2年ほど前のこと。
常連のお客様との何気ない会話のなかで、愛用されている靴をご紹介いただいたのが「seica」との出会いでした。
いつも素敵な装いの常連様。I am dorkのリネンデニムにseicaのオーダーシューズ。ブランドのアイコンモデル「外羽根式フルブローグ」のデザインをベースに、メダリオンを省き、トゥにわずかに丸みを持たせたカスタムスタイル。
職人と顧客が対話を通じて一足の靴を作り上げる、ビスポークシューズの世界。
主にデイリーカジュアルの靴を扱ってきた私たちとって、あまり馴染みのない世界ですし、体験したこともありません。
もちろん魅力的ではあるけれど、既製靴とはまた別の領域。
お値段もきっと気軽なものではないし....
正直なところ、最初はあまりピンときていませんでした。
けれど、そこから何度かお話を伺ううちに、考えが少しずつ変わってきました。
これまで取り組んできた既製靴のご提案から、もう一歩踏み出すことで、また違った世界が見えてくるかもしれない。
そして、もうひとつ。
夫自身、甲が薄く、踵も細い、非常に華奢な足をしています。
メンズの革靴が基本的に足に合いにくく、長年靴選びには苦労してきました。
だからこそ、「自分にとって、本当に合っている靴を体験してみたい」という好奇心が自然と芽生えてきたのだと思います。
作り手との対話を通じてモノが作り上げられていく過程と、出来上がった靴が自分の足にぴったりとハマった時の高揚感。
それは外からは見えないものだけれど、身につけた人だけが体感できるもの。
そうした「体験の価値」にいま、目を向けるタイミングが来ているのかもしれない。
そんなことを考えているうちに、seicaのものづくりにどんどん興味が湧いてきました。
そしてついに、今年の3月。
ご縁をつないでいただき、seicaの霜崎さんと直接お話しする機会をいただけることになりました。
ハンドキャリーでお持ちいただいたオリジナルシューズ2型と革のサンプル。
右が内羽根式パンチドキャップトゥ(ハンドソーンウェルテッド製法)、左が外羽根式フルグローブ(ハーフノルヴェージェ製法)。
デザインはオーセンティックでありながら、どこか色気を感じさせる佇まい。
実際の靴と革のサンプルを携え、お店に来てくださった霜崎さんを前に、
お恥ずかしながら、最初は「わからないことがわからない」状態で、質問一つ出てこなかったのですが汗
seicaの靴はどのようにして作られているのか。
私たちに目線を合わせながら、ひとつひとつ丁寧に教えてくださいました。
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「一人ひとりに合わせる」
それがseicaの靴作りのスタイルです。
足の採寸からスタートし、サイズゲージ(フィッティングサンプルシューズ)を試着してもらい、歩行の様子を確かめながら、気になる点を丁寧にヒアリング。
オリジナル木型をベースに、着用者の足の個性や歩き方のクセなどに合わせて独自の調整を行い、その人にとってのベストなフィッティングに近づけていきます。
特に印象的だったのが、霜崎さんの靴についての考え方と、歩行についての感覚です。
靴というのは、着用者を正しい歩行方法に導くためのものであり、歩行をサポートするものである。
そうした考えから、seicaの木型設計には、足を踏み出す際に「かかと→小指→親指」へと自然に重心が移動する独自の構造(ローリング構造)が取り入れられています。
これによって、正しく体重が乗るようになり、歩きやすく、疲れにくくなるのだそうです。
実際に、普段からseicaを愛用されている常連様も「とにかく疲れにくいんです」とおっしゃっていました。
そしてseicaでは、靴作りに必要な工程をすべてオールハンドメイドの手作業で行っています。
「手作業で素材の感覚をつかみながら進めるのが大事」と霜崎さん。
seicaならではの履き心地や佇まいは、こうした繊細な手仕事の積み重ねから生まれています。
また、メンテナンスしながら長く履いてもらえるように、修理をしやすい構造に設計しているのも特徴のひとつです。
足に馴染んだ履き心地はそのままに、なるべく靴に負担をかけず、元の綺麗な状態に仕上げられるように。
絶妙なさじ加減で、一針一針、丁寧に縫い上げる。
ここにも、長い時間をかけて培われた霜崎さんならではの感覚と技術が宿っています。
霜崎さんの足元。カントリーラインより、登山からのイメージで製作された「Karakoram」。スニーカーのような見た目ながら、独自の木型調整とローリング構造が盛り込まれ、ハンドソーンウェルテッド製法で仕上げられている。
ドレスシューズの他には、「カントリーライン」という、「歩くこと」だけをひたむきに追求した独自のラインも展開されています。
このラインでは、霜崎さんがこれまでに収集してきたドレスシューズのオーダーデータをもとに、ゆとりのある履きやすさを追求して設計された木型を採用。
デザインには、アウトドアやスポーツの要素を取り入れています。
初めてお会いした日にもちょうど履かれていたのですが、スニーカーのような、革靴のような、独特の存在感を放っていて、非常に興味をそそられました。
登山やサッカー、サイクリングなど、体を動かすことが好きだという霜崎さんの感性が反映された、ほかにないユニークなアプローチです。
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たくさんの職人さんがいるなか、人との繋がりのなかで巡り会うことができた霜崎さん。
ビスポークシューメーカーと聞くと、カジュアルを扱う私たちのようなお店とは交わることのない、遠い存在なのかなと思っていました。
けれど、実際にお話してみると、ドレスとカジュアルのどちらかではなく、どちらをも行き来できる柔軟な感性と表現の振り幅がある方で。
だからこそ、交われる部分が感じられたのかもしれません。
そしてなにより、
あぁ、この方は靴にまつわることが本当に好きなんだな。
好きだからやっているんだなぁ。
という、靴に対して真摯に向き合う姿勢と、静かな熱量が伝わってきました。
こうしたものづくりをされている方とお取り組みができることは、本当に幸せなことだと思います。
お会いしたことで、seicaのものづくりをもっと知りたい。
お客様に、実際に体験してみてほしい。
そんな気持ちが、一層強くなりました。
改めてお声がけしたところ、快く引き受けてくださり、オーダーイベントの開催というかたちで、お取り組みをスタートさせていただくことになりました。
つづく







