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New Brand "Seihcra" 


このたび、新たなブランドとのお取り組みがスタートします。


オーバーコートに特化したブランドSeihcra(シクラ)。

26AWシーズンのデビューに先駆け、ローンチお披露目会のメールをいただいたのは昨年11月のこと。
その時は残念ながらタイミングが合わず伺うことができなかったのですが、2月に開催された展示会でようやくその全貌に触れることができました。



デザイナーの里和慶一さんは、服飾専門学校を卒業後、国内の老舗テーラーで修行を積み、その後イギリスへ。
スーツの本場サヴィル・ロウの名門テーラーでキャリアを重ねてきた方です。
現在は都内でテーラリングハウス「ARCHIES(アーチーズ)」を構え、英国スタイルのビスポーク・テーラーとして活動されています。



顧客一人ひとりと向き合い、理想をかたちにする。
そんなビスポークの世界で洋服を仕立ててきた彼にとって、Seihcraは初めての「自分発信のものづくり」。
そして同時に、「既製服」という新たな領域への挑戦でもあります。

「自分がエゴで作ったものが、自分から手が離れたところでどのように世に広がっていくのか。それを楽しみにしているんです。」と里和さん。


「ARCHIES」は、お客様からのアウトプットを里和さんがかたちにする場。

「Seihcra」は、里和さんからのアウトプットをお客様へ届ける場。


ものづくりの最初の一歩が逆であることから、「ARCHIES」を逆から読んで「Seihcra」という名前がつけられました。




デビューシーズンは、1950〜1960年代イギリスのタウン、カントリーウェアをベースにした、バルマカーンコート、ダブルブレステッドコート、フィールドコートの3型。

「ラグランスリーブ」構造にフォーカスしたコレクションです。

一見シンプルですが、服の構造部分に里和さんの思想が詰まっていました。


「僕自身、ラグランスリーブがすごく好きなんです。ただ、一枚袖のラグランスリーブは構造の制約上、なで肩寄りの設計になっている製品が多いです。


僕のようになで肩の体型であれば問題ないのですが、そういった服をいかり肩の方が着ると、ボタンを閉めたときに首元が浮いてしまい、服が後ろから引っ張られるような状態になってしまう。オーバーコートのような生地分量の多い服だと、そのストレスは大きくなります。


また、なで肩設計の服は肩先のみで服全体を支える構造になるので、重さをより感じやすいんです。」


これまで数多くのお客様をフィッティングしてきた経験から、実際にはなで肩よりもいかり肩の方のほうが多いと感じていた里和さん。

「なで肩設計のラグランスリーブって、本当に多くの人に合っているのだろうか…..?」


そんな疑問がずっと頭の中にあったそうです。


だからこそデビューコレクションではその気づきを反映し、一般的ななで肩設計ではなく、"いかり肩"寄りのパターンを作成。

ボタンを閉める前提のオーバーコートとして、首が抜けず、肩先だけでなく面でしっかりと服が乗るように。

多くの人にとって着心地がよく、自然に着られるラグランスリーブ構造を目指したといいます。

また、ビスポークと違ってSeihcraの服は里和さん自身が縫わないため、自分が縫わない場合にもエラーが起こりにくいようなパターンを意識したとのことです。


洋服を形作る上で欠かせない、けれども表には見えない、普段知ることのない世界の話。

里和さんのビスポーク・テーラーならではの視点からの話がすごく面白くて。袖を通してみてさらに納得しました。

身長も骨格も違うのに、夫にも私にもスンといいところに収まる。

服が寄り添ってくれるような感覚。
「これはすごい...!!」
この時点ですっかり彼の世界に引き込まれてしまいました。





また、印象的だったのは生地です。


Seihcraでは、国内の生地のプロフェッショナルの協力のもとオリジナルで開発された生地が複数揃っています(全9種類ある生地の中でなんと6種類がオリジナル)。


ビスポークでは同じ生地を使って何着も、何名にも洋服を仕立てることがないため、オリジナル生地の開発は難しかったという里和さん。
「とにかく生地の開発がしたかった!」という言葉通り、Seihcraではその想いが存分に発揮されています。


そして、そんなこだわりの生地の表情を生かすための工夫も。


既製服のコートには接着芯が使用されているのが一般的で、パーツごとの芯の有無によって生地の表情が変わるものが少なくないそうです。
一方でSeihcraのコートは、接着芯をほとんど使わず、代わりにフラシの毛芯を採用。
これによって生地の表情の見え方が均一になるのだといいます。
「パーツによって生地の表情が変わってしまうのが苦手なんです。生地の風合いを殺さないことが1番大事。」というお話からも生地にかける強い思いが伝わってきました。



そして、袖を通した瞬間の軽やかさにも驚かされました。

英国スタイルのコートは、見た目に重厚で、がっしりとした生地。その分、重量もしっかりとある。そんなイメージがありました。

しかしSeihcraのコートは、生地のウェイトを抑えていることに加え、設計の良さもあり、実際に袖を通すとさらに軽く感じます。


ビスポークで好まれるのはヘビーウェイトな生地ですが、既製服となると重たいコートはどうしても手が伸びにくく、里和さん自身もあまり着ないのだそうです。

Seihcraのコートは、幅広い層の方に届けたいという想いが生地設計にも表れています。

ミドルゲージのニットやジャケットの上にも羽織れて、コートの下でファッションを楽しめる。
そんな設計思想も、私たちの好みでした。


.


ちなみに皆さん、現役のビスポーク・テーラーと聞いてどんな方を想像するでしょう。

私たちはクラシックな装いの方を想像していました。
しかし会場でお会いした里和さんは、ジャケットにデニムという軽やかなスタイル(正直ホッとしました笑)。


「僕はクラシック畑の人間ではないんです。」
その言葉にも納得する背景がありました。


もともとレディースの服作りに強い興味があり、ファッション業界に入ったこと。
モードファッションに親しんで青春時代を過ごしてきたこと。

モードブランドでのインターンの経験。
そして古着も好きなこと。


そんな里和さんがつくるコートだからこそ惹かれたのかもしれません。


クラシックに寄りすぎることなく、現代のファッションとして自然に街で着られる服。
イギリスの街のムードと彼の感性が溶け合い、人柄がそのまま表れるような、柔らかさとしなやかさ、軽やかさ、そして優しさがSeihcraのコートにはありました。


里和さんのこれまでの知識と経験が注がれているというのはもちろんですが、それと同時に、表現したくてたまらず沸々としていた想いが爆発したようなパワーがすべてのプロダクトに宿っているように感じました。
私たちとしては、この里和さんの投げかけを世の中に知ってもらいたい。
そんな思いから、デビューコレクションは思い切って全型展開させていただきます。



つづく



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